2014年5月27日火曜日

詩をふたつ。

先日のラウンドテーブルについて投稿しました。
http://www.smallcamp.org/archives/1344

文章を書くのはめんどうで大変なことなのですけれど。それでもわたしが友人に教えてもらったり、またわずかばかりではありますが時間を割いて本を読んだり映画を観たりして思ったことなので、教えてくれる友人のたまたま居なくて本を読む機会も取れなかった、ほかのわたしのために、役に立てられれば良いとの思いで書いてます。

きのうの朝に見つけた詩を二つ。
(わたしは詩に詳しいわけではないのですが、たまにネットで詩を採集します)


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『蝶』  辻征夫


自転車に乗っていて
紋白蝶を
轢いてしまったことがある

 ■

路上に
しみのようなもの
なにかわからない黒っぽい
小さなもの
があった
紋白蝶にも
それが見えたにちがいない
なぜって
正確にその一点に
舞い降りたから――
自転車が通過した

 ■

ぼくはときどき
顔を覆って
(叫び)をこらえることがある
ほんの一瞬だけれども



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『溜った血』  川田絢音


土管が放りだしてあり
覆いをかぶせた単車が置き去りにされている
覆いの縁から
すぐにはじまる 低い空
空が何気なく分泌するものに
塞がれてしまいそうになりながら
歩いている

小学校の前を通るが
どよみは聞こえない
犬を連れている男と擦れちがう
犬は 男より小さく 犬型をしている
不意に
角の交差点に十二、三人立っていて
アスファルトに赤い血が溜っている
誰かがそれだけの血を流していった

溜った血が
鮮やかな物質として
投げ出されている


(『川田絢音詩集 悲鳴』より)





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